第2回〔アナログyummy〕に参加して [音楽]
高円寺の音楽カフェ<yummy>でお店所蔵のレコードをじっくりと聴かせてもらえる
イベント〔アナログyummy〕開催のことをマスターの羽根さんから教わったのは第1
回開催直後にお店に寄ったときでした。
隔週の木曜日18時から1時間ごとにマスターチョイスのレコードをかけてくれる、と
いう企画で、何のレコードがかかるかは聴いてのお楽しみ・・ということで。
いやあそんな貴重な情報、やっぱり出かけてみないと巡り合えないものだなあと、犬も
歩けばなんとやら、ワタシは亥ですがね。
で、先日の木曜日、その第2回企画に期待に胸を膨らませて参加してきました。
いつもなら定時に職場を切り上げればオープンに間に合うところですがこの日はたまたま
仕事絡みで飲食のスケジュールが入ってしまったのです。
なので最初の時間から聴くことは叶わなかったのですが、おかげでワタシの体内には適度
にアルコールが注入された状態でお店に到着したこともあり、却って音楽を聴き入る感度
はヒアウイゴーとなっていました。
そしてここの夏野菜カレーの大ファンなのでそれプラス飲み物は主治医から節酒指示を受
けている手前ジンジャーエールをオーダーしようと思ってママさんに声をかけようとした
とき目の前に立てかけられていた可愛げなミニサイズの看板のメニュー表が目に留まり、
そこで思わずハッとしてしまったのです。
≪ブルーチーズとクルミ いちじくとクラッカー≫
これは先達てこのお店で行ったぼんぼちさんやRchooseさんお誕生会のときに提供され
た絶句状態になるほど美味しかったデザートのケーキと材料がほぼいっしょじゃあない
ですか!
それに≪チーズリゾット入りライスコロッケ≫も相当気になります。
なのでこの2品に決まり!そしてこれらのメニューに合う飲み物と言えばやっぱり赤ワ
イン。
主治医さんごめんなさいまた約束を反故にしてシマイマス・・・自分のカラダへ、ちょっと許せ。
このように揃いました。なおここで特筆すべきは一番左の器にある付け合わせです。
これはなんとぼんぼちさんがお店に提供されたさいころチーズ入りはっさくのマーマ
レード。ぼんぼちさん、ママさんのご厚意でご相伴にあずからさせていただきます。
さあ20時を迎えマスターがレコードのセットに動き出します、何がかかるのか・・・
はたして<ジャコ・パストリアス>のソロ2枚目のアルバム<ワード・オブ・マウス>
でした。
<ジャコ・パストリアス>と言えば天才と崇められたジャズベーシスト。
今から30年以上も前に残念ながら30代でお亡くなりになりましたが。
でもなぜマスターがジャコのアルバムをチョイスされたのかは・・
実はマスターご自身もミュージシャンでベース奏者なんです。
スピーカーの横には立派な楽器も飾られています、いえときどき演奏もされています。
ところでいつもyummyにひとりで訪れるときはカウンターに座らせてもらいますが、この
日はカウンターがいっぱいだったのでスピーカー前の4人テーブル席をママさんが案内して
くれたのでひとりでこのベストポジションを占領してしまいました。
特等席でyummyなブルーチーズやはっさくのマーマレード載せのクッキーを食
べつつ赤ワインを飲んでアキュフューズのレコードプレーヤーやノーチラスのスピーカー
が紡ぎ出すあたたかくも迫力満点の音楽を聴き入る・・ワタシにとってこれ以上の贅沢はこ
の世に存在しません。
ということであっという間に片面の演奏が終了しました。
この後のBGMは一転して70年代のユーミンCD、普段のデジタルyummyですね。
マスターはほかのお客さんも多数聴きに来ているのにワタシの嗜好を把握してくれていてこ
のどまんなかのCDをチョイスしてくれているのでしょう、きっと。
なにしろお客がワタシひとりのときは口角泡を飛ばしてユーミン談議を繰り広げてしまうく
らいなのですから。
さあ、次の21時からは何をかけてくれるのか・・期待に胸が高まります。
予告ではフュージョン特集をする予定ですよ~、と言っておられたのでワタシ自身ジャンル
としてはフュージョンがもっとも好みなだけにけっこう期待してやってきたわけでもありま
して。
その期待を裏切らず「トリ」を務めたのはやっぱりというか当然このアルバム
<リターン・トゥ・フォーエバー/チック・コリア>
B面の<サムタイムアゴー~ラフィエスタ>演奏時間23'13” の始まりです。
目をつむって鑑賞するとチック・コリアクインテットが舞台で演奏している姿が浮かび
上がってきます。
最初のサムタイムアゴーはチック・コリアの軽快な中にも寂しげなメロデイを電子ピア
ノで奏でる音で始まり、それは舞台左側から聞こえてくる。
続いてスタンリー・クラークの重厚なウッドベースの低音が右サイドから電子ピアノの
メロディに絡むように聞こえてくる。
それからアイアート・モレイラのパーカスやドラムも左サイドから聞こえてきてチック
・コリアのピアノに加勢をかける。
負けじとジョー・ファレルが右サイドからフルートで参戦してベースをバックアップ。
ここでフローラ・プリム(のちにアイアート・モレイラと家庭を持つ)のキュートな中
にもミステリアスな歌声が舞台真ん中から響いてくる。
ボーカルは長く続かずピアノ、フルート、ドラムスの競演がしばらくなされた後やがて
後半のラフィエスタへ演奏は突入してゆく。
このパートではスタンリー・クラークはソプラノサックスに持ち替えて応戦。
ボーカルなしで10分に及ぶピアノ、サックス、ベース、ドラムスの一体感の演奏が真骨
頂となりあっという間に23'13"の演奏は終了となります。
演奏が終わった瞬間ワタシは自然と拍手をしてしまいました。(ひとりだけでしたが)
こんな感じで我が耳と舌にご褒美を与えたことにより最近ガタが来まくっているワタシの
脳をはじめ五体が潤って故障防止に役立ったものと思われます。
次回もまた待ち遠しいです。
<7月19日 追記>2011年11月2日拙ブログ『RTFコンサート視聴記事』を
リンクします。(12年も前かぁ、と感慨にふけってしまいます)
<レトロ喫茶店マニアの聖地>【カド/向島】65年の歴史に幕 [地域]
レトロ昭和喫茶店マニアのあいだでは聖地とあがめられている(と勝手にワタシがイメージ
しているのだがw)喫茶店が東京下町のかつて花街としてにぎわった向島で今も粛々と営業
を続けお客を迎え入れている。
その名も[カド]。十字路の交差点すなわち角地にたたずんでいることに由来したものなの
だろう。
創業が昭和33年なので今年でまる65年を迎えたまさに昭和を背負って立ってきた老舗中
の老舗喫茶店である。
私が勤務する職場から歩いて15分ほどのところなのでたまに立ち寄ってはいたのだが、
[カド]のごく近所に住む知人からショッキングな情報を受けたのは今年の4月初旬のこと
である。
それは「閉店する」というお知らせだったのだ、閉店日はこれから決定との事だったが。
なんでも老朽化した建物の外壁の一部が崩落したためのようである。
これは一大事と、仕事が手につかなくなったので業務をやりくりしてすぐ駆けつけてみた
ら下の写真の通り「臨時休業」の張り紙が貼られて閉まっていたのであった、無念。
その後ほどなくして開店にこぎ着けたことを把握したのでずっと伺うことを狙いつつ
気になる日々を過ごして来たのだがようやく先日願いを叶えて訪れることができた。
すなわちそのときに撮ったのが最初にアップした写真である。
ご覧の通り建物の外壁をシートで覆いながらの応急措置による営業だ。
なお閉店日が7月30日に決定したことが発表された。
ただし嬉しいことに完全閉店ではなく「移転」先も同時に発表がなされたのだ。
移転先は店主がじっくりと3か月に及んで候補地を冷静かつ大胆な分析と本人の嗜好
(海に近い場所)に合わせた先を探した結果、茨城県の日立市であることがつまびらか
にされたのである。
店内には[カド]の創業者である先代のコレクションとして貯蔵している数々の絵画作品が
掲げられている。
しかも数が多いので定期的に交換されているそうだ。
それらは天井にも飾られているのだ、それに豪華なシャンデリアも。
店内にはレトロなグッズが満載、しかも装飾品にあらず現役で活用されているもの
ばかりなのである。
先代の手作りメニュー表が戦中あたりに活躍したような雰囲気の大型ラジオと相まって
何とも味わい深い。
オーダーは[カド]の鉄板メニューであるくるみパンのサンドウィッチに活性生ジュース。
サンドウィッチの中身は店主から勧められたトマトとチーズを選んだが、自家製くるみ
パンはここでしか味わえない独特の風味であるのがいい。
そして活性生ジュース、まず名前が振るっているではないか。
先代が命名したものを作り方を含めそのまま受け継いでいるそうだ。
材料はセロリ・パセリ・アスパラなどの生野菜にリンゴやレモンなど果物をミックスし
たのだがセロリの苦甘さが私にとってドハマリの一品である。
花街として活況を呈していた当時お座敷前の芸者さんがこの活性生ジュースを一気飲み
して精力を養った逸話があるそうだ。いや現在でも数は激減したものの芸者さんは健在
なので同じ行動を取っていることだろう。
さてカウントダウンは30を切ったところである、できればあと2~3回は通いたい。
それから機会を作って茨城県日立市にも足を延ばしてみたいものだ。
(7月5日 追記 2016年11月27日拙記事 をリンクします)