椿山荘の東京雲海と絶滅危惧種的喫茶店(目白界隈の二景) [地域]
先週のこと、息子が目白の椿山荘で結婚披露宴をあげたのですが、かなり遅い時間にお開
きとなったので、せっかくだから庭園に出て夜のしじまに浮かぶ<雲海>でも見ましょう
ということになったのです。
椿山荘といえば庭園が人気のスポットです。
コンパクトだけど見ごたえのある三重塔が建立されていたり傾斜地に植えられた樹木が
一望できて都会のど真ん中であることを忘れさせるほどの自然に触れ合えるからなので
しょうが、最近は人工的に霧を噴出させる<雲海>がとても見事だということで話題に
なっているそうです。
(ワタシとしてはそんなパフォーマンスをやってるとはつゆ知らずでしたが・・・・・)
時間の経過とともに雲海が広がってゆくさまが見てとれましたでしょうか。
わずか10分ほどのパフォーマンスでしたが、妖艶さの極致といいましょうかしばしの
間下界との別離気分を味わえ非日常の世界に浸ることが出来ました。
◇ ◇ ◇ ◇
いっぽう昨日のことです。
椿山荘とは反対方向ですがやはり目白エリアの一角にある老舗喫茶店。
昭和懐古趣味であるワタシの琴線に触れるたたずまい。
その前を通るたびに気になっていたのです。
しかしその外観と言えばお客をすんなり受け入れるのをまるで拒むかのような雰囲気を醸
し出しています。
いったいぜんたいやっているのだろうか・・・
でも入り口には「OPEN」の札が吊るされています。
なので意を決して扉を開ける・・・・・・と
そこは想像をはるかに超えた昭和空間でした。
それこそ昭和の世ではよく見かけたフカフカの椅子とシンプルな四角いテーブル。
(椅子のデザインが揃っていないところが素敵)
そしてそれぞれのテーブルには当然のように灰皿がセットされています。先客はひと
りもいなく、店主らしきマダムがカウンターに向かう椅子に足をクロスさせて腰掛け、
たばこをくゆらせながらテレビを見ておりました。
瞬間的にワタシは入ってはいけないところに来てしまったのか、と錯覚を起こしそうに
なり思わず「コ、コーヒーはありますか?」と聞いてしまいました。
お店というよりは田舎の実家へ帰省し身内しか踏み入れることのない居間にでも居る
かのような気分に浸りました。
もちろんこれは否定的な意見と言うことではなく懐古趣味主義者としてはこの雰囲気
につかることに喜びを感じているのです。
ほどなくするとオーダーしたアイスコーヒーが運ばれてきたのですが、昭和時代には
よく見られたミニサイズのカップにミルクが入れられたものをマダムがアイスコーヒ
ーといっしょに持ってきてくれました。
わたしはブラックで飲むのでそのミニサイズのカップは戻してもらいました。
ちなみにガムシロップは付いていなかったのでそこはマダムが気を利かしたのだろうと
勝手に思ったのです。
その日、外はけっこう暑くてかつワタシはウォーキングの最中だったため一気に冷たく
て黒い液体を喉に流し込んだのです。
その瞬間・・・・・思わずうなってしまった。
ガムシロ入りだったのです。
そう言えば昭和のむかし、アイスコーヒーもデフォはガムシロ入りでブラックを好む場合
はオーダー時に「ブラックで」と注釈をつけていたのではなかったかな・・とすっかりポ
ンコツと化したアタマで記憶をさかのぼりながら妙に懐かしさが満載のテイストに浸りつ
つ40~50年前の思い出をぽつりぽつりと追いかけた昼下がりでした。
目白駅は山手線の中でも最も深い歴史を有していながらいまだに他の鉄道の乗り入れが皆
無という稀有な駅です。なのでその周辺のお店も椿山荘のように時代の最先端を走る建物
から今回紹介したようなユニークな喫茶店など趣深いお店が満載です。
以上<孤高の町目白>の紹介でした。