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【2023RWC総括】決勝トーナメントをすべて1点差で頂点を極めた偉業 [スポーツ(ラグビー)]

2023ラグビーワールドカップが10月29日の決勝戦を以って幕を閉じました。

ウエブ・エリス・カップを手にしたのは12-11の1点差でオールブラックス(NZ)を制した

スプリングボクス(南ア)でした。

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(勝利が決まった瞬間CPコリシは終了前にシンビンを受け一人欠けさせてしまった責任感

から試合を直視することができずジャージを被ったまま下を向き続けていたコルビの元へ

真っ先に駆け寄って抱擁する感動を呼んだシーン)


過去の大会においても決勝戦は極めてドラマチックな展開が多々演じられてきましたが

今回はノックアウトトーナメントの3試合(準々決勝・準決勝・決勝)すべてで1点差勝ちと

いう、ドラマですらあまりにも現実離れしていて成り立たないような筋書きをやり遂げた

勝負強さに対して言葉が見つからないほど驚愕し、また感嘆してしまいました!

50日に渡って繰り広げられたワールドカップは開催直前までランキング1位のアイルラン

ドか開催国フランスの北半球2か国が優位と見られていましたが、蓋を開けてみればやは

り南半球の実力2か国による決勝戦でした。

しかし今回ワールドカップは予選プールでも劇的な試合が少なくなかったのですが、こと

決勝トーナメントはノーサイドまでどちらが勝利するか分からぬ手に汗握る好ゲームが目

白押し、特に準々決勝の4試合はすべてが非常に白熱したゲームでした。

そう言った中でも後で振り返ればまるで緻密な筋書きで仕組まれた『スプリングボクス(南

ア)劇場』とでも言えるかのごとくドラマチックな展開に終始したと言えます。

まず予選プールでのアイルランド戦では8-13敗戦。この時点では試合内容から明らかに

アイルランドの実力が一枚上であるように見受けられました。

スタンドオフ(10番)を任されたリボック選手はランスキルでは傑出しているもののプレース

キックが不調で外しまくっておりそれが敗因であったとも言えます。

その弱点を決勝トーナメントでどのように修正したのか・・

それは世界最強と言われるフッカー(2番)マルコム・マークスがケガで出場不能となった代

替としてなんとこちらはケガから復帰のハンドレ・ポラード(10番)をエントリーしたので

した。

専門職であるフッカーの交代要員にスタンドオフを充てる、という一見無鉄砲ぶりが決勝ト

ーナメントで見事すぎるほど術中にはまるわけです。

決勝戦でスプリングボクスはノートライの4ペナルテイキック12点をすべてポラードの右足

で刻んで積み上げたわけです。対してオールブラックスは2トライあげるも1本はTMO(テレ

ビマッチオフィシャル)での取消しが響き1トライ(ノーゴール)2ペナルテイゴールとなり南

アに1点及ばなかったわけですから。

また同じ1点差でも試合展開としては土俵際での見事なうっちゃりとなった準決勝の対イン

グランド戦の方が痺れました。

この試合は南ア以上に手堅いキック攻撃で進めるイングランドが残り10分強まで15-6

とラグビーでセーフテイリードとされる8点差以上をつけていたにも関わらず、ここから奇

襲とも言える自陣22m内でのフェアーキャッチ後にスクラムを選択したのです。

よほどスクラムにゆるぎない自信を持っていない限りありえない選択ですが、これが奏功し

てロングゲインを獲得、その後の攻撃でトライまで持って行き15-13の3点差まで詰め

寄り以後残り3分の時点でスクラムによる反則(ペナルテイ)を獲得、ほぼ正面と言えど50

m以上の距離をポラードは涼しい顔で決めて15-16と筋書き通りと言えるような展開で

逆転に持ち込んだのでした。

準々決勝ではフランスのトライ後のコンバージョンをチャージしたコルビ選手の活躍が特筆

ものでした。

草ラグビーレベルではまれに見られるプレーですが大舞台のワールドカップでこんなプレー

が見られるなんて世界中のウォッチャーが誰も想像すらしていなかったでしょう。

このチャージがなかりせば南アは1点差で敗北を喫していたわけですから。

それから特筆すべきはメンバリングのFWとBKの構成比です。

決勝戦では世間をあっと驚かすメンバリングで臨んできました。

それはリザーブ8人中FWの選手を7名、よってBKは1名のみという布陣。

もともと強力FWを武器としている南アゆえその特長を最大限活かすべくFW6人体制はしば

しば採られてきました。

このFW6人体制ですら他で実践したチームを殆どみることがありません。

ポジションの専門性やケガによる交替リスクを勘案して常識の範疇ではFW5人(うちスクラ

ム第1列で3人)BK3人となるわけですから・・・

でも実はこの奇襲とも言える布陣は予選プールのアイルランド戦でも試していたわけです。

そしてこの戦術を語るにはラグビーのルールの変遷について触れておかねばなりません。

ラグビーほどルールが目まぐるしく変化するスポーツは珍しいのではないかと思います。

第1回のワールドカップが開催されたのは今から36年前の1987年。

その頃はリザーブは今より1人少ない7名でかつ先発メンバーが試合途中でのケガにより

プレーの続行が不可能とレフリーが判断したときのみ2名まで交替ができるというルールで

した。

なので基本的には先発で出場した選手が80分間のノーサイドまでプレーをやり切るという

ことが当たり前とされていました。

ところが何年か前からリザーブを含めた23名で1試合をたたかう、つまり試合途中での

選手の入替は自由(ただし原則入れ替えられた選手は再出場は出来ない)というルールに

変更されたことにより、監督・コーチがより戦略的に選手を交替させる、ひいてはその交替

のタイミングが勝敗を大きく左右するように様変わりしたのです。

南アでは主力選手を温存させて後半になって一気にその主力選手たちを出場させる戦略が

結果的にはことごとく的中した、と見受けられます。

なおこの南ア独特の戦術は前回大会からすでに取り入れられていました。

4年前の日本大会では準々決勝で日本が南アと対戦した時すでに世界ナンバーワンフッカー

とうたわれていたマルコム・マークスは後半を少し経過してからの登場でした。

南アのようにフィジカルモンスター軍団のFWを擁したチームにはこういった戦術が有効で

あることを実証した形だと考えられます。

今後たとえばFWに自信を有したジョージアなどではこの南アの戦術が取り入れられるので

はないかと個人的には想像します。

また国内に目を向けリーグワンや大学・高校のチームなどでも模倣されると思われますね。


さて最後に今回の日本の戦績について独自意見を綴りたいと思います。

決勝トーナメント進出の目標には届きませんでしたがしり上がりで調子を上げてきたので

かなり健闘してくれた、というのが一般の評価です。

しかし私個人としては厳しい意見となってしまいますが結果に対して極めて不満足です。

それは選手個々というよりジョセフヘッドコーチを筆頭とした首脳陣と日々結果や各種の

情報を報道するマスコミの記事に対してです。

まず首脳陣においては今回選ばれた33名のスコッドに対する選定理由の不透明さとそれ

に対する明快な(納得できる)解説がなかったこと。それに各試合における先発メンバーや

それこそ戦略的な途中交替のタイミング等の戦略的ミスがかなり見受けられたように思わ

れます。

またマスコミの記事に関してですが、各記事とも横並び肯定的な意見を付したものばかり

でウンザリしました。

少しは批判的かつ真実をえぐるような骨太のすなわち首脳陣やある程度目の肥えたファン

を納得させてくれるような記事を各社の特徴において発信してくれてもしかるべきではな

いか、と思うわけです。

そんな記事を発信したら戦力強化が混迷してしまうリスクもあるかもしれませんがもちろ

んそういう意図では無くひとえにブレイブ・ブロッサム(ジャパンチームの愛称)強化のた

めに隠された事実をキチンとオープンにしてもらいたいというものです。

本当はジャパンがアルゼンチンに敗北した直後に怒りの記事をつづるつもりでしたが、(い

つものように)モタモタしているうちに決勝トーナメントが始まりどの試合も感動の連続だ

ったため気持ちも落ち着いてしまい、終わってしまったことをつらつら批判しても後味が悪

くなるとの思いに考えが変化したので一点だけ触れて締めたいと思います。

それは7月よりワールドカップを見据えてスタートしたテストマッチからワールドカップ本

戦の試合における特にFB(フルバック)の人選について。

最後まで迷走としか思えないような変遷を辿ったのではないか、と断言します。

2019のアイルランド戦、スコットランド戦はジャイアントキリングでした、それに対して

今回イングランド戦、アルゼンチン戦は2019のときのようなほぼノーミス&(チーム全員が

同じ絵を見る)ワンチームに徹すること、そしてラスト20分のフィットネスと集中力を発揮

していればジャイアントキリングと言われるほどでもなく間違いなく勝利したと確信してい

るからです。                                 以上                                                                                 


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kick_drive

こんにちは。先日土曜日の朝放送している「旅サラダ」で
南アフリカの旅を特集していたこともあり南アフリカが優勝して
良かったと思ってました。魅力的な国ですよね。

by kick_drive (2023-11-05 11:08) 

英ちゃん

ぁぁ、私も決勝戦見ちゃいました(^_^;)
前日のオフ会で疲れてるはずなのに夜中に目が覚めちゃいました(;^ω^)
by 英ちゃん (2023-11-05 22:09) 

八犬伝

凄い試合が続きましたね。
ワールドカップ・ロスが長引いています。
このまま、&NATIONSまで解消しそうにありません。
JAPAN話になりませんでしたね。
仰るように、何故あの33名を選んだのか
甚だ理解に苦しむ陣容でした。
そして、戦略もなしに
勝てるわけがありません。
by 八犬伝 (2023-11-06 09:35) 

NO14Ruggerman

kick_driveさんnice!&コメありがとうございます。
魅力的だけどちょっと危険なイメージが漂います。
でも一度訪れてみたいなあ、と思っている確かに魅力的な国。
by NO14Ruggerman (2023-11-07 09:27) 

NO14Ruggerman

英ちゃんさんnice!&コメありがとうございます。
私はあの日結局音楽を聴くことに歯止めがかからず
看板になるまで居座ってしまいました。
でも目覚ましのおかげでライブ観戦を堪能しましたよ。
by NO14Ruggerman (2023-11-07 09:30) 

NO14Ruggerman

八犬伝さんnice!&コメありがとうございます。
プール戦とノックアウトステージでの戦いはおよそ
同じスポーツとは思えぬほどのパフォーマンスでした。
前向きな意見を全否定するつもりは毛頭ないですが、
ジェパンのレベルで「優勝」を口にするのは違和感を
感じざるを得ませんでした。
by NO14Ruggerman (2023-11-07 09:34) 

Rchoose19

いろいろご意見はあると思うのですけどね♪
報道も、なんだか何誌を見ても、
横並びで同じようなことしか書いてなかったりしますよね。
数種類の雑誌なりなんなりの存在価値ってものが
なような気がするんですよねぇ。。。。
でも、今は本当に思ってることを言っちゃたりすると
袋叩きに会いますからね(--〆)
by Rchoose19 (2023-11-07 12:38) 

NO14Ruggerman

Rchooseさんnice!&コメありがとうございます。
マスコミも結局人気取り商売なのでしょうね。
渦中のジャニーズ問題が(大多数の)マスコミの不甲斐なさを象徴しています。
この件に関しては当時の梨元勝のスタンスが立派であったと着目されました。忖度せずに報道してくれる崇高な記者の登場を願うばかりです。
by NO14Ruggerman (2023-11-11 10:55) 

トリック

 ニュージーランドファンはカードの判断に違いに、ずっと不満タラタラなのでしょうね。
by トリック (2023-11-12 09:13) 

NO14Ruggerman

トリックさんnice!&コメありがとうございます。
ですよね。NZ贔屓の仲間はあり得ぬ判定の連続、と
激怒していました。
この試合のみならずレッドカードの判定はルールを早急に
見直さないとファンが離れてしまうと危機感を抱きます。
安全性を担保しつつしかし興味がそがれない新たなルールに
改正してほしいものです。
by NO14Ruggerman (2023-11-13 09:12) 

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