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奇跡のVOICEを持つ珠玉のアーチスト小田和正の軌跡~空と風と時と~を読み終えて [本]

小田和正は今現在(=2024年2月)御年76歳を数える。

世間一般では75歳以上を指す『後期高齢者』へと突入した訳でありいわゆる名実ともに老人

なのだ。

なのに歌声はいまだ若い頃と変わらぬ、いやその頃よりもさらに磨きがかかった純粋無垢の

ハイトーンクリスタルボイスである。

私は小田和正について特別に入れ込んでいるわけではない、事実コンサートには一度も足を

運んだことが無い。

しかし40年以上にわたってコンスタントに魅力的な楽曲を創り出す才能に敬服する一方、彼

の辿ってきた(紆余曲折の)道のりについては野次馬根性も働いて非常に関心を抱いていたの

で、この新刊本が発刊されることを知った瞬間に予約を入れて出版日に入手した。



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読み始めてから2か月以上かかって先日読み終えたが、これは内容が期待したほどでなか

ったということではなく普段読書に接していないので読むスピードが遅いことと、本作

品が600ページ超に及ぶ超大作だったこと、それに通勤時に限定して読むこととした

ので朝の連続テレビ小説よろしく毎日その先がどういう展開になるのかをワクワクしな

がら読み進めていったなどの事情が重なりかなりの時間を要してしまった訳である。


さて拙ブログを訪問くださる方々はみなさん人生経験が豊富な方たちばかり、とお見受け

するので小田和正のプロフィールを解説するということは野暮だと思うのだが、一応簡潔

に触れておこうと思う。

小田は1947年生まれ、横浜市の出身で実家は薬局を営んでいた。

中学・高校と進学校の私立聖光学院に通いそこで後に「(ジ)オフコース」としてコンビを

組むこととなる鈴木康博と出会って演奏活動をスタート。

二人のハイトーンボイスのハーモニーが紡ぐ作品は当時としても出色だったが曲調が地味

だったこともありしばらくは全く売れない下積み時代が続く。

しかし当時のプロデューサーの手腕により清水仁・大間ジロー・松尾一彦というロック色

の強い3人を加えたことにより5人編成でビートを効かせた曲を次々と発表するようになっ

て大ブレイクを果たし絶頂期を迎える。

だがほどなくして結成当初から活動を共にしてきた鈴木が脱退、その直後1年ほどの休止期

間を経て4人編成で再スタート。

ところがその活動も5年ほどで解散となってしまい、以後小田はソロで音楽活動を30年以上

続け現在に至る。


 先にも触れたが私は小田和正というひとりのアーチストに特段着目していた訳ではないの

で文中再三にわたり登場する〔クリスマスの約束〕なる音楽イベントすら知らなかった。

これは現在進行形で活躍しているアーチストたちを一堂に会してリレー形式で歌いつなぎ、

最後は全員でクリスマスソングを合唱する、という小田が企画・提案そして実現に持ち込ん

だ音楽イベントだそうである。

今から20年以上も前に行われたこのイベントを皮切りに毎年クリスマス時期に催されている

そうだ。(直近2年間は開催されてないようだが)

かつてアメリカで〔ウィ・アー・ザ・ワールド〕が当時超一流アーチストたちによって唄わ

れたがその日本版のようなものか。


 小田は進学校で中高一貫の聖光学院から現役で東北大の建築学科に進みそこから更に早稲

田大学の大学院で建築学を学びつつ当時すでに演奏活動に携わっていたにも拘らず大学院を

中退せずにキッチリと卒業しているいわば高学歴芸能人のさきがけだ。

勝手ながら小田の人物像について秀才かつ完璧主義で自分の創り上げたものに対して絶大な

自信を誇るが人とのコミュニケーションを得意とせず自分中心に少数の気の合った仲間との

み物事を仕上げていくようなタイプか、と思っていた。

事実小田に接した音楽関係者は口々に無口な人とかとっつきにくいなどの感想を漏らしてい

る。

しかし実際の小田は人との付き合いを大切にし、相手をリスペクトする姿勢を有する至って

懐の深い人物であるということをこの書物では説いている。

「オレがオレが」の目立ちたがり屋でなければ生き残るのが難しいとされる言わば生き馬の

目を抜くのが当たり前な芸能界では貴重な存在であろうということだ。

また吉田拓郎と交流することとなったいきさつについても触れられていて、どちらもアクが

強いだけに気が合うとお互いが厚い信頼と固い絆で結ばれている様が読み取れてとても微笑

ましく感じられた。


ところで私は筆者の追分日出子氏についてまったく存じていなかったのだが昭和史全記録な

どの時代を編集する企画の編集取材に携わるいわゆるドキュメンタリー作家なのだそうだ。

小田について細部に渡ってのあらゆる情報があきれるほどもりだくさんに登場してくる情況

から、浅はかな私はきっと筋金入りの小田ファンなのだろうと想像したのだが、それは作品

のあとがきを読んでまったく見当違いであったことを知り改めてドキュメント作家の手腕に

脱帽してしまった。

そんな小田の細部にわたる情報の中で私がもっとも心に刺さったのは、彼は少年時代におい

ては腕白でいたずら好き、そしてスポーツ少年だったという事実。

聖光学院中学では野球部に入部かつ最上級生3年次では何とキャプテンに任命されている。

今では少年が憧れるスポーツはサッカーにその地位を譲ってしまった感が強い野球だが、昭

和の時代はダントツで野球だった。

なのでスポーツを得意としていた男子(これも今となってはきわめて昭和チックな表現だが)

はこぞって野球を選択していた時代だ。

思春期でスポーツに長けていた者たちの集団たる野球部に在籍してキャプテンを張るほどの

実績を持っていたことと名門大学の理系を渡り歩き修士号まで取得した上で極上のヴォーカ

ルを演ずるというギャップ萌えに私はやられてしまった。


 ということで当初は小田がミュージシャンとして60年に渡り活躍する間に2人→5人→4人

→1人と変遷していった事実とかエピソード等を知りたいがために読み始めた本作品ではあ

ったがその理由は今まで伝えられてきた内容と概ね一致していたのであえてここでは解説す

ることは控え私自身が驚きを以って得た上記内容について触れたことで締めとさせて戴く。



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コメント 8

英ちゃん

私はファンじゃないけど小田和正さんのベストアルバムを持ってます(^_^;)
2002年に発売されたCDですが、何回か聴いてお蔵入りになってます(;^ω^)
しかし、未だにあのハイトーンボイスが健在って凄いよね。
by 英ちゃん (2024-02-07 11:06) 

kiyotan

小田和正さん すごいですよね
大学院も出て音楽も続けて普通じゃない。
とても綺麗な声を保っています
私はダミ声の人が好きだけど・・
この人はラブソングがいいですよね

by kiyotan (2024-02-08 06:14) 

sakamono

音楽には疎い方ですが、もちろん小田和正は知っています。この記事で興味深いことをいくつも知りました。東北大学、早稲田、しかも建築学科。そして野球部。それとドキュメンタリー作家の凄さ。直接、小田和正のことではないけれど、おもしろく読みました。
by sakamono (2024-02-08 22:56) 

NO14Ruggerman

英ちゃんさんnice&コメありがとうございます。
あの声をいまだ維持し続ける裏には並々ならぬ努力を重ねているということが本の中でも垣間見えます。レジェンドですね。
by NO14Ruggerman (2024-02-11 08:36) 

NO14Ruggerman

kiyotanさんnice&コメありがとうございます。
大学院を卒業されていた事は存じておりましたが中学で野球部に在籍かつキャプテンを務めたといつエピソードには驚きました。
しかも腕白だったという事も。
by NO14Ruggerman (2024-02-11 08:39) 

NO14Ruggerman

sakamonoさんnice&コメありがとうございます。
追分日出子さんの取材力に感服しました。
70年以上も前の細々とした日常の出来事を今起きたことのように臨場感豊かに伝える表現力に圧倒されましたね。
by NO14Ruggerman (2024-02-11 08:47) 

Rchoose19

小田さんの思い出といえば・・・・
『ジ・大黒堂』ってバンドのレコーディングの時の
プロデューサーやってたことかなぁ~~。
曲が出来るまでのメイキングのビデオ持ってました。
バンドのメンバーさんとの、やり取り見てると
いい人だよなぁと思いましたけどね♪
歌詞的には、ちょっと男尊女卑だよね!
by Rchoose19 (2024-02-14 07:56) 

NO14Ruggerman

Rchoose19さんnice1&コメありがとうございます。
『ジ・大黒堂』初めて知りました。すかさず調べてみましたが
小田氏はこういうこともされてたのですね。
時期的に『クリスマスの約束』の直前あたりなので一連の行動として
よく理解できました。
若いころの発想や行動から如何に進化して行ったかがうかがえて
大変興味深いです。
by NO14Ruggerman (2024-02-14 13:26) 

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