<巻上公一>【濃厚な虹を跨ぐ】発刊記念講演を聞いて [本]
巻上公一氏は結成45年を数える音楽バンド〔ヒカシュー〕のリーダーである。
氏はもちろんあまたに存在するミュージシャンのひとりだが、演劇やらホーミー(喉歌)
やらその多才ぶりには舌を巻くものがある。
そんな氏が先日2冊目の詩集を発刊した。
ヒカシューが発表する曲のほとんどは巻上氏の作詞作曲によるものだが、この詩集は18枚
に及ぶアルバム作品に収められている歌詞などから選んで出版した力作である。
ちなみに4年前に刊行した1作目【至高の妄想】は詩人の大岡信賞を受賞しているまさに
至高の作品だ。
40年以上に渡って氏の音楽を追いかけてきたのみならず一挙手一投足を着目してきた私と
してはもちろん本作品をいの一番で購入したのだが同時に発刊を記念して講演を行うという
情報を入手したのでこれは聞き逃すことは出来ぬと思い本日その講演を聞きに行ってきた次
第である。
会場は現在再開発が顕著な渋谷の南エリアにこじんまりとたたずむ小さなバー。
初めて訪れたそのバーは楽器が置かれていてたまにライブを行うようだが、何とも妖艶さが
漂うまさに巻上氏が講演するにはぴったりの箱のように感じた。
(講演直前のショット、巻上氏とゲストであり「無印良品」ブランドを立ち上げたことで
著名な小池一子氏および歌人の石井辰彦氏が座る予定の椅子)
アップライトピアノや蛇味線がいつでも活躍できるように、とスタンバイしている。
(トークライブまっただなかの巻上氏(最右側)と隣で聞き入るクリエイテイブ・ディレ
クターにしてレジェンドの小池一子氏とその隣は歌人の石井辰彦氏)
石井氏は歌人の立場から巻上氏の作品を几帳面で整然としていることに感心したと評した
のに対して小池氏は敬愛を込めて真っ向から否定していたのが微笑ましかった。
巻上氏みずから作品を情感込めて読み上げてくれた。
巻上氏の得意技のひとつ、口琴を披露。
尺八をも演奏、しかし吹き終わったあとにこの楽器がプラスチック製であるとの一言
には思わず絶句してしまった。
◇ ◇ ◇
このようにトークライブから途中の休憩をはさんで詩の朗読、楽器の演奏、さらには
十八番(おはこ)である「ホーミー(喉歌)」まで披露というもりだくさんの2時間
強であった。
トークライブで触れられていた本詩集のエピソードをひとつ。
当初この詩集のタイトルは本作品中トップバッターを飾っている「キリンという名の
カフェ」となる予定だったものが巻上氏本人の意見でそれではおしゃれ感が漂うので
氏のポリシーに合わず回避となったそうである。
そして驚いたのがこの曲のコード進行。
単純に同じコード進行を繰り返すだけの平凡な構成なのだがそのコードがc-a-f-eなん
だそうだ。
巻上氏の(歌)詞には(ダ)ジャレがしばしば引用されていたり心地よい韻を踏んで
いる部分がよく見受けられるが、歌詞や曲のタイトルとコード進行が繋がっていると
知り改めて氏の機知に富んだ才能に敬意を表してしまった・・・
講演は19時スタートとちょうどディナータイムだったため手作り弁当が用意されていた。
写真は詩集の宣伝チラシをかぶせた紙製の弁当箱であり冊子にあらず。
中身はこのように年配者好みのライトでヘルシーなメニューであり、もちろん言うまで
もなく美味であったことを伝えて今回の素敵な記念講演レポートの結びとさせて戴く。
(2023年5月24日追記)
講演の中でさらに大変興味深い話題を取り上げていたのでそれについても追記しておく。
〔濃厚な虹を跨ぐ〕冊子の表紙には呪文のような文字が列記されている。
らいろらいろらいろらいろら
これがタイトルとして選ばれた作品の詩であり同曲の歌詞でもある。
巻上氏の曲にはこのようにナゾの歌詞を伴った作品が散見されるのだ。
そしてこのような正体不明の言葉のことを「ジブリッシュ」と称するそうだ。
氏は英語の「イングリッシュ」に対してちんぷんかんぷん言葉としての「ジブリッシュ」
という言語の対比を例示して初めて聞く人が理解し易いように解説してくれた。
私も初めてこの単語を知ったわけだったが、これは世界共通のひとつの「文化」として
ワールドワイドに存在しているそうで、かつきのうきょう生まれたものではなく歴史深く
日本よりもむしろ欧米の方が盛んであるそうだ。
巻上氏においても海外講演でジブリッシュを披露すると一目を置かれるらしく、コロナ禍
で世界各国のジブリッシュの名士たちとリモートジブリッシュ会談を行ったそうだ。
本日の講演でも数分間に及ぶジブリッシュを披露してくれ拍手喝采となったことを追加
報告としたい。
2023-05-23 23:36
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コメント(24)
手作りの弁当が出るなんて、
凄いです。
美味しそうですね^^
by 青山実花 (2023-05-24 07:22)
尺八がプラスチック製?
チョッと調べたら、プラスチック製は割れる心配がないそうで初心者向きだそうです(^_^;)
by 英ちゃん (2023-05-24 11:31)
変わった人の変わったライブですね
詩人って変わった人が多いです。
私の周りにもそういう人が多い
類は友を呼ぶのかな
by kiyotan (2023-05-24 20:48)
ライブのおもしろさってありますよね。目の前に演者(この場合、そう
言っていいのか?)がいるという、ある種の緊張感。自分の敬愛する
人に生で会えることのうれしさに、私も共感します。
それにしても、この弁当箱は、なかなかいいですね^^;。
by sakamono (2023-05-24 21:34)
宣伝チラシをかぶせた紙製弁当箱がシブイ。。
by 横 濱男 (2023-05-25 10:48)
限られた人数のライブは貴重だと思います。
自分の好みの集まりは出来るだけ小人数がいいなぁと
思ったりします♪
好きな世界を独り占めしたいもの!
by Rchoose19 (2023-05-25 22:18)
こんにちは。(^^)
「テクノ御三家」の中でもヒカシューが一番好きでした。
必死で探してアルバムも買ってました。とても懐かしいです。
巻上さん、見たところ当時と変わって無いですね。すごい。
by バク・ハリー (2023-05-27 12:07)
青山実花さんnice!&コメありがとうございます。
このお弁当の中身は複数の方によって作られたものです、と
主催者からお聞きしました。どれも美味でしたよ。
軽食付きとは聞いていましたがこんな豪華なお弁当が
食べられたのでとてもトクした気分に浸りました(^^♪
by NO14Ruggerman (2023-05-27 18:41)
英ちゃんさんnice!&コメありがとうございます。
巻上氏は海外公演の際尺八を持参されるのに
割れにくい理由でプラスチック製のものにした、と
解説されていました。
by NO14Ruggerman (2023-05-27 18:42)
kiyotanさんnice!&コメありがとうございます。
変わった人・・・いわゆる我々凡人では気づくことが出来ない
センスを備えている、平たく言えば芸術家なのでしょうね!(^^)!
by NO14Ruggerman (2023-05-27 18:45)
sakamonoさんnice!&コメありがとうございます。
音楽もスポーツもライブに限りますがトークライブは
世間では知ることのできないエピソードを聞けるので
エピソード好きのワタシにとって絶好の機会であると
思っています。
厚かましくも質問コーナーで挙手しちゃいましたしw
by NO14Ruggerman (2023-05-27 18:48)
横 濱男さんnice!&コメありがとうございます。
エコに配慮したプラスチック製でないところに
心意気を感じましたが、中身がどれも絶品だったので
まさかトークライブで食に感動するとは思っても
みませんでした!
by NO14Ruggerman (2023-05-27 18:51)
Rchoose19さんnice!&コメありがとうございます。
観客は30人くらいでしたのでアットホームでしたよ。
しゃべりだけでなく演奏やパフォーマンスを披露してくれ
満足のゆくものでした。
特に生ジブリッシュはすごかった。万国共通語なので
海外で大受けする理由がわかる気がします。
by NO14Ruggerman (2023-05-27 18:57)
バク・ハリーさんnice!&コメありがとうございます。
巻上氏はとてももうすぐ古希を迎えれるようには
お見受けできないですね。
テクノ御三・・・とえも懐かしいです!ワタシもPモデルにも
やや傾倒しましたがやっぱりヒカシューがダントツでした。
かつてこんな記事も書きましたのでよろしければ・・
https://no14ruggerman.blog.ss-blog.jp/2017-09-10
by NO14Ruggerman (2023-05-27 19:02)
貴重なお話ありがとうございました。興味深く拝読致しました。まさかヒカシューが存続してライブ活動までされていたとは、全く存じ上げませんでした。大変懐かしい話題をご提供いただき感謝感激です。じつは私、一時はテクノにハマって、Pモデル、プラスチックスもアルバム持っていました。宝物として実家に置いていたら、いつのまにかガラクタと一緒に処分されてしまい泣いた過去があります。あまりの懐かしさに、先ほどApple Musicでダウンロードしてしまいました。(^.^)笑
by バク・ハリー (2023-05-27 23:09)
バク・ハリーさんReコメありがとうございます。
ヒカシューは今でも毎月ライブコンサートを行なっていますよ。
私も最近はご無沙汰していたのですが先日の講演で関心に火が灯いてしまったので出かけてみようと思います。
ちなみにレコードとプレーヤーを今でも有していますのでときどき聴いております(^^♪
by NO14Ruggerman (2023-05-28 09:26)
c-a-f-eというコード進行、面白いです。(^^)
いわゆるBACHモチーフと同じような発想ですね。
by lequiche (2023-05-31 02:19)
おはようございます。
メールソフト不調で・・・受信は出来るのですが、送信不調で。
オフ会のお誘いいただきありがとうございます、生憎、当日は孫が来るので今回は参加できません、皆さまに宜しくお伝えください。
by YUTAじい (2023-05-31 06:03)
lequicheさんnice!&コメありがとうございます。
bachモチーフって初めて知りました。
c-a-f-eのコード進行は確かにbachモチーフそのものですね。何たる理知的手法でしょう。
音楽と文学の才能を兼ね備えた者のみの成せる業かとお見受けします。
by NO14Ruggerman (2023-05-31 21:01)
YUTAじいさんnice!&コメありがとうございます。
承知しました。
お孫さんとのふれあいは最大のミッションですよね。
私もJIJIになり身をもって感じました。
by NO14Ruggerman (2023-05-31 21:05)
こんばんわ。土曜日日はお疲れさまでしたぁ♪
とても楽しかったです。ありがとうございました♪
来年のお誕生会が楽しみです(#^^#)
GSの名前が思い出せなくて、曲が探せませんでした^^;
次の日にバイトがなければ、深夜まで飲んでても♪
その際には、絶対に高円寺に宿、とります!
幹事さん、お疲れさまでしたぁ~~(#^^#)
by Rchoose19 (2023-06-04 20:53)
おはようございます。
長男一家・・・まさかのコロナ感染参りました( ´艸`)
by YUTAじい (2023-06-05 05:59)
Rchooseさん、改めましてお疲れさまでした。
皆さんお帰りの後も他のお客さんに伝播したかのように昭和歌謡の嵐が吹き荒れました。次回は是非ともコンディションを整えてのご参戦を期待致します。
by NO14Ruggerman (2023-06-06 18:26)
YUTAじいさんコメありがとうございます。
それは大変、お楽しみイベントも延期ですね。
どうぞご自愛ください。
by NO14Ruggerman (2023-06-06 18:28)