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【読書週間】最近読んだおススメ本 Ⅱ《僕とニュー・ミュージックの時代 青春のJ盤アワー/泉麻人》 [本]
タイトルの本について書こうとしたのですが、その前に先日紫綬褒章を受賞された
伊集院静さんの作品を取り上げた方が話題としては旬なので割り込みします。
さてその作品とは数年前の出版なのでとうに旬を過ぎていますが、前回紹介した
「邂逅の森」に勝るとも劣らぬほどにワタシの魂を揺さぶった自伝的小説です。
《お父やんとオジさん》 著者:伊集院静
内容は朝鮮戦争真っ只中の韓国が主な舞台で主人公の父が幼くして戦禍に置き去り
にされている義弟を身の危険も顧みず乗り込んで助け出す、というもの。
と言った風に記載すると無味乾燥な表現となってしまい作品に対して申し訳ないです。
作品のテーマは「家族愛」ですが、戦時下の生々しい表現はまるで本の中から弾丸が
飛び出してきそうな迫力に襲われ思わず頭を隠してしまうほどの壮絶さです。
戦争が如何に残酷で愚かな営みであるか、読み進めてゆけば誰でも感じ取ることが
でき、そこからは自然体で「反戦」を意識することになるのではないでしょうか。
伊集院静氏については個人的に大ファンだった故夏目雅子さんの配偶者だったと
同時に、現在は篠ひろ子さんの配偶者である、という程度の情報しか持ち合わせて
いなかったので、線が細くて頭でっかちのインテリなのかと勝手に思い込んで
おりました。
本人は長嶋茂雄氏に請われて立教大野球部に入部した筋金入りのアスリートです。
(のちに肘を壊して退部を余儀なくされたそうですが)
先日Y新聞に紫綬褒章がらみの記事が掲載されていましたが「小説は頭で書くの
ではなく、体で書くんだ」が自らの信念であるとのこと。
こういう方が書く小説なので行間からして気合や熱気が感じ取れ、惚れ込んで
しまいます。(ハイ、偏見は重々承知の上での意見です)
ー ー - - - - -
「お父やんと・・」や伊集院氏のことを書きだしたら際限なく続きそうなので
本題に移ります。
《僕とニュー・ミュージックの時代 青春のJ盤アワー》 著者:泉麻人
知性派ブログ「雨降りとラジオの日々」を発信されているlequicheさんが半年
ほど前ブログ上で紹介していたのに感化されて当時さっそく購入して読み
進めてみたのです。
著者が雑誌で<青春のJ盤アワー>なるコラムを連載形式で執筆していたものを
まとめて出版した形の書籍ですが、紹介している曲とアーチストは本人が実家で
所蔵しているレコードに限っている点が面白く、しかもワタシは著者と年齢にして
3歳年下なだけなので殆どの部分に共感してしまいました。
かつ同書の中では1970年代当時の事象や風俗などにも触れているのですが
氏の実家はワタシの生まれ育った街であり現在も住んでいる所なので著書の中で
登場するいくつかの固有名詞はリアルタイムでワタシも知りえている先だから
痛快なんです。
例えばそのうちのひとつに「レコード目白堂」が登場し、美人店員さんがいたと
いうくだりがありますが、ワタシもこの店で子どもの頃よくレコードを買っていた
ので鮮明に記憶が蘇ったりしました(笑)
因みに取り上げたアーチストとコラムのタイトルです。
「ゆでめん」とシャボン玉/はっぴいえんど
アコースティックな讃美歌/GARO
DOWN TOWNの風景/シュガー・ベイブ
「築地の唄」と昭和レトロの夜明け/野沢享司
Gパンからの脱却/よしだたくろう
海とゴジラと若大将/加山雄三
1977年の港区サウンド/いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー
垣根の木戸の鍵/荒井由実
哀愁の西早稲田通り/愛奴
中津川の語り部たち
ビューティフルなエンジェルベイビー/平山三紀
湘南道路の「砂の女」/鈴木 茂
マンザイブームとテクノポップス/ジューシィ・フルーツ
郊外電車の夏景色/サンズ・オブ・サン
そのときセリが流れていた/石川セリ
ナイアガラの時間/大滝詠一
ポパイ少年と「普通の女の子」/キャンディーズ
1978年のディスコクィーン/岩崎宏美
ウォークマン越しのTOKIO/イエロー・マジック・オーケストラ
午前3時の東京ららばい/中原理恵
パンチ・パンチ・パンチの夜/モコ・ビーバー・オリーブ
突発性ショーケン病/井上堯之バンド
ニートな春咲小紅/矢野顕子
ユーミンの前に漣健児がいた
飛んでチャクラマンダラ/庄野真代
リクルートカットの夏に/サザンオールスターズ
現象液のニオイののする部屋/吉田美奈子
葉山の合宿所の縁側で/大貫妙子
『バンドワゴン』GBS見物記/鈴木 茂げたものです。
泉氏はどうして何十年も前の細かなことをそこまでリアルかつ正確に記憶して
いるのだろうか、と感心してしまいます。
よってアラカン世代にとっては思春期から青春時代の情景が蘇ってくること
間違いなしだと思うのでおススメですね。
またそれより下の若い世代にとってはミステリアスに感じる部分が多いでしょう
から逆に興味をそそられるのではないかとも思います。
(lequicheさんの感想がそんな感じでした)
さてそんな泉麻人氏の著書でもう一冊おススメ
《青春の東京地図》 著者:泉麻人
こちらもかなり古い出版になるのですが、上記「僕と・・」を知人に話したところ
逆に紹介を受けた著書です。
これぞ地元ローカルネタオンパレードで痛快の極み。
しかも泉氏の勇気を讃えたくなったのはこのイラスト。
本の中に登場するのですが、よくぞこのようなイラストを万人が目にする出版物
に掲載するなあ、と尊敬してしまいます。
しかし雰囲気としてはこれ以上にないものを醸し出しております。
このイラストの本文は著者が幼少のころ幼心にも不気味さを感じていたエリア
なのです。
著者は「シライシキソ」という言葉の響きが謎めいており、ぞくっと鳥肌が立つ
とまで記しているほどなのです。
前回で紹介した<ジャンクジャングルキッズ>に登場するイラストとは対極を
なして、逆にこちらの方がインパクトにおいては勝っているかも、ですね。
ということで明日(9日)で読書週間は終了しますが、最近めっきりと読書量が
減ったワタシにとって2回に渡り書籍紹介を行ったことで自分自身が触発されて、
伊集院氏や熊谷氏のそのほかの作品を読みたくなりました。
これも読書週間の効果の一端でしょうか(苦笑)
追記:読書週間内に記事が間に合ってよかったです。(間に合ったので載せましたw)
【読書週間】最近読んだおススメ本《ジャンクジャングルッズ》 [本]
今は読書週間の真っただ中です。
調べたら毎年10月27日~11月9日の2週間で、ちょうど11月3日(文化の日)
を挟んだ日にちとして制定されたそうで。
出版社や取次会社、書店、公共図書館から新聞・放送のマスコミ機関などが一丸と
なって何と今から70年近くも前の昭和22年にスタートされたとのことなので
由緒ある行事だと言えますね。
さてワタシこと大変恥ずかしながら読書の量はかなり貧弱です。
ですが是非紹介したい本があるので今回はその話題について展開しようと
思います。よろしければお付き合いください。
読書量の乏しいモンが紹介する本なぞ信憑性や説得力に欠ける、とお思いに
なるかも知れませんが、反面読書にあまり熱心でない者でも嵌ってしまう作品
であるという見方もできるのではないかと考えます。
即ち小難しくないのでハードルも低く万人が楽しめるのではないかと。
《ジャンクジャングルキッズ》 著者:町田 謙介
小学6年男子の主人公が仲間2人と夏休みに偶然見つけた不法投棄場で
秘密基地を作り上げるのだがとんだハプニングでハラハラドキドキのクライ
マックス・・というストーリーなのですが、年齢層で50代以上の男子なら
多かれ少なかれ自己体験しているか、一度は憧れる遊びについての内容なので
きっと共感を持って読み進んでしまうと思います。
さながら米国映画「スタンドバイミー」の日本版という喩えが分かり易いかも。
あるいは邦画でたとえたら「ALWAYS三丁目の夕日」ワールドですね。
また個人的にツボだったのは「渡辺ジュースの素」という商品名が登場した箇所。
これは実在した商品です、50年前の記憶が鮮明に蘇りました。(笑)
昭和40年代に既に使用禁止となった「チクロ」なる人工甘味料で造られた粉末の
オレンジジュースなんですね。
3時のおやつになると封を切って渡辺ジュースの素をコップにざざ~っと入れる。
水道の蛇口をひねって水を出してコップに注ぐ。
(スプーンでなくあくまでも)さじで溶いてゴクンゴクンと飲む。
エノケン(榎本健一さん 喜劇役者)がCMで口づさむ「ホホイのホイともう
一杯・・♫」は今でもくっきりと憶えていますよ
(と思ってちょっと検索したらあるもんですね)
さて脱線したので作品の話に戻します。
なぜこの本に出会ったかと言いますとワタシが毎月聴きに行っているライブの
ミュージシャンが書き下ろした作品なんですよ。
そう、著者の町田謙介さんはブルースシンガー兼ギタリストで、絵も大変上手
これご本人直筆のイラストです。物語の中でしばしば登場します。こちらの
腕前もプロ級!
ワタシのような読書初級者にとっては物語のキーになる場面でこのような
イラストが挟みこまれているのは非常に助かります。字面だけだと往々に
して場面を勘違いして読み込んでいることが少なくないものですから・・
著者マチケンさんから直に購入したので裏表紙は(お決まり)著者の生サイン。
ということで本作品は少年期のワイルドでアドベンチャーなワールドに心酔して
しまう大変心地よい物語なのでワタシ的には文句なしの★★★★★評価です。
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さてせっかくの読書週間ということなので最近読んだものに限らず調子に乗って
もう少し古いおススメ作品なども紹介したいと思います。
《邂逅の森》 著者:熊谷 達也
これは人気ブロガー<青山実花>さんが最近マタギ(クマの狩猟を生業と
する人)関連の映画を取り上げた記事を立て続けに投稿されたのを拝読した
ことがきっかけで10年以上も前に読んだマタギ小説を思い出したのです。
あらすじは明治から大正昭和にかけて、秋田の貧しいマタギの家に生まれた
主人公の波瀾万丈の人生を描いた物語ですが、非常に重厚な内容で全編に
渡り野性味がほとばしっています。
最近の定番となってしまった<草食系男子>の真逆を行く主人公の生き様に
久しく忘れられてしまった<男>否<雄(オス)>としての本能を思い起こ
させてくれるような、惚れ惚れしてしまう作品です。
性描写も結構露骨で、たとえば「夜這い」のシーンなんか主人公に乗り移った
気分でドキドキハラハラしてしまったりで・・・
《ジャンクジャングルキッズ》もそうですがこの《邂逅の森》は是非映画化
してほしいですね。
然らば主役は豊川悦司さんがイメージ的にぴったりなのではないかなどとまったく
勝手に想像したりしています。
さて次は・・・と行きたいところですが筆の乗りが悪くなってきたので次回
ということにさせていただきます。
(但し気ままブロガーなくせに一応旬な話題に拘っているため読書週間中に
アップできたら・・・ですね)