四十九日 [日記・雑感]
本日2月26日は友が旅立ってから49日が経つ。
私にとっては10年ほど前に偶然出会ったことから始まり､その後しばらく途切れたものの縁
あって再会を果たしてからのおよそ数年程度の交流に過ぎなかったが、遊びの情報に長けて
いた彼と会うことを私としては常に楽しみとしていたかけがえのない人物であった。
あまりにもあっさり逝ってしまった友を偲んで､また謹んでご冥福を祈る気持ちを込めて個人
的な記録としてここに綴ることとする。
（彼のいきつけだった俗称「あやしいマスターのいるあやしいお店」で献杯）
註)あくまでもごく一部SSブロガーの間で通用する俗称です
1月8日 彼は旅立った。まだ若いのに・・60代前半、齢はわたしよりひとつ下だ。
その10日前SNSで年が明けたら遊びに出かける約束を交わした矢先だったので訃報の報せ
を受けた時はわが目を疑った。
しかし思い起こせば亡くなる2か月前に会ったとき顔から上半身にかけては痩せ細ってしま
ったのに比しておなかは腹水がたまってかなり膨らんだ姿を見ていたので、早晩この結末
を迎えてしまうことは想像に難くなかった。
最後の出会いとなってしまった2か月前のその日、私たちは彼がかつて住まわれていた東京
の某郊外にある一杯飲み屋で会食する約束を交わしていた。
私はその日の昼間、都心のグランドでスポーツに興じていた。
活動後にそこのシャワー設備を使わずに、待ち合わせ場所の一杯飲み屋近くにある銭湯を彼
から紹介されていたのでそちらへ直行したのだ。斯くいう私は無類の銭湯愛好家である。
気持ちよく汗を流していたらそこに同じく銭湯好きの彼も入ってきた。
そこで図らずも彼の腹部が視界に入ったので自分としては思わず固まってしまった。
それでも私は平静を装いつつお互い気持ちよく湯船につかってから風呂屋を後にしてそこか
ら徒歩数分、彼がかつて行きつけとしていた間口が狭くて地味なたたずまいである故一元客
はます寄り付きそうもないその店舗へと足を踏み入れた。
カウンターのみの手狭だけどそれなりに奥行きが確保された造り。
自分らと同世代と思しきママがひとりで切り盛りしていた。
銭湯経由とはいえまだ早めの時間だったため客は我々2人のみ。
ママは久しぶりに訪れた彼に少し驚いた表情を見せたが痩せこけた姿に対してはそれに関わ
る会話がなされなかったので事情を掌握していたと推察した。
ソフトドリンクとビール、それに２、3品の料理をオーダーし、日常の他愛ない話をママと
交わしてその店を出た。
次に向かった店はカラオケバー。彼の真骨頂、常連店への檀家廻りが始まったと感じた。
ここでもママさんが彼をとても温かく迎え入れてくれた。
店内は先ほどの店とは真逆でステージも備わっておりかなり広めでゆったりとしていた。
先客に年配カップルが居たが彼はその男性とも面識を有していたようだ。
体調が芳しくないのでマイクを向けられても最初は固辞していたのだが先客の歌を聴いてい
てスイッチが入ったのか得意のマニアックな昭和歌謡を次々と披露してくれた。
そんなこんなでとても楽しいひと時をすごせた夜であった。
かつてはエンドレスナイト状態だったが病魔から体力を奪われているこの日は小学生の就寝
時間にはお開きとして彼は高円寺へと帰って行った。
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高円寺と言えばブロガーの皆さんにはおなじみyummyからほど近い所に彼は住んでいた。
今からちょうど10年前、私は単身赴任の旅を終わらせて実家の高田馬場に戻ってきた。
そこから西武新宿線で２駅先に『中井』という地味な駅があるが私の帰郷祝いと称して地元
幼なじみの友人に連れられて訪れた中井のディープでチープなとあるバーで隣に座っていた
のが彼だった。
カウンター数名のスペースしかないそのバーは不思議なことに終電がなくなる時間帯に達す
ると人が湧きだすように集まって満席となる。
私はその店がすっかり気に入って、それからしばしば人が湧き出すような時間帯に訪れるよ
うになっていた。
すると必ずと言っていいほど彼が居た。
おのずと顔見知りになりあいさつ程度は交わすようになった。
それでもいつぞやからかぱったりと出会わなくなったので、ある時ママに尋ねたら実家に引
っ越したとのこと、だが実家がどこか聞くほど関心を抱いてなかったのでいつしか記憶の外
となった。
いっぽう私が所属しているとあるサークルの仲間が彼と親友であることをある時に偶然知る
こととなった。
何気なく彼がどこに居るのかを尋ねてみると『高円寺』だと返ってきた。
高円寺ときたら当時ぼんぼちぼちぼちさんのオフ会で訪れたyummyがすっかり気に入って
毎週訪れていた時期だった。
仕事終了後スポーツで汗を流してから高円寺の人気銭湯でひと風呂浴びた後yummyで生ビ
ールを一気飲みすることに至福の喜びを感じルーティンとしていたのであった。
サークル仲間にyummyという名前の店のことを彼に伝えてもらい機会あらばそこでの再会
を提案したその時さらなる偶然の瞬間がやってきた(あくまでも私の視点としてだが）
住まいがyummyから目と鼻の先であることが判明したのだ。
その後ほどなくして再会を果たした。
中井の店で最後に会って以来数年は過ぎていたと思う。
それ以降遊びに円熟味を増していた彼に高円寺界隈のあちこちの店を紹介され遊び回った。
時にはフィアンセだ、と言って連れ同伴で会ったり、別のある時は違うフィアンセを連れて
きたり…
そのようにして訪れた遊び場のひとつが一部SSブロガーとも何度となく足を運んだ俗称「あ
やしいマスターのいるあやしいお店」である。
傘寿を迎えたマスターが一人で運営している昭和風情あふれるカラオケスナックだ。
マスターはがんサバイバーだ。
昨年の正月にマスター本人から告知を受けたので驚いてそれを彼に伝えたら「実は自分も」
と伝えられてからぴったり1年を迎えて勝手にあっちへ逝ってしまった。
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通夜には詰襟を着た中学生や高校生たちが数多く焼香にやってきた。
彼は聖職者、誰もがよく知るミッションスクール小学校の教師だった。
私生活は授業で教えることとはおよそ正反対の生き様だったのだろうが生徒たちにとっては
人間味にあふれた魅力的な先生であったからこそ教え子たちがこれほどまでに参列にやって
きたのだと思うと思わず目から液体が流れ落ちて止まらなくなった。
一度きりの人生、自分にもいつなんどきやってくるかわからない運命、病魔との対峙。
改めて一日一日を悔いなく大切に過ごそうと心に誓った令和6年正月過ぎのある一日のこと
であった。
時々会っていた人があっちへ行ってしまうと
その人のエピソード じわじわと思い出しますよね
出会ったのが飲み屋さん 会わなくなってまた
高円寺で再会 縁のあった人なんでしょうね
そう思うと涙も溢れますよね 同じくらいの歳だし
ともだちの価値は亡くなって認識できるものです。
by kiyotan (2024-02-26 18:30)
もう四十九日が終わりやしたか。早いでやすね、、、
あっしも、ラガーマンさんを通じて、今は、彼と知り合いになれて、良かったなと思えてやす。
ご自身の人生を思い切り楽しまれてたご様子のかたでやしたね。
改めて、合掌でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2024-02-27 10:53)
もう四十九日なんだね、時が経つのは早いね(^_^;)
by 英ちゃん (2024-02-27 11:49)
一度だけ『怪しいマスター』のところでご一緒しましたね。
あの頃は普通に健康体だったのでしょうかねぇ。。。
吾人も楽しそうでしたが、周りを盛り上げるのも
お上手な方でしたよねぇ。。。～～～合掌～～～
by Rchoose19 (2024-02-27 12:38)
kiyotanさんnice!&コメありがとうございます。
その通り、偶然に偶然が重なって再会したのは縁があったとしか
考えられません。
1月はとても身近な人たちが3人も亡くなり驚きました。
by NO14Ruggerman (2024-02-28 23:25)
ぼんぼちぼちぼちさんnice!&コメありがとうございます。
ぼんぼちさんからお聞きした彼がぼんぼちさんにアプローチ
した話、大変失礼ながらとてもほっこりとさせられました。
物豆奇に集まったとき、お連れさんとの対面が実現できず
残念でした。しかし私にとってもいい思い出となりました。
改めてありがとうございます。
by NO14Ruggerman (2024-02-28 23:33)
英ちゃんさんnice!&コメありがとうございます。
そうですよね、なので新年オフ会からもうすぐ四十九日ですね。
アップした写真はあのとき英ちゃんと訪れたあやしい店なんです。
by NO14Ruggerman (2024-02-28 23:36)
Rchoose19さんnice!&コメありがとうございます。
そうですね、あのころはピンピンしていて絶好調でした。
あやしいマスターには彼の分までもっともっと活躍を続けて
もらいたいものです。
by NO14Ruggerman (2024-02-28 23:41)
確かにそうですね。
友人も自分もいつ死ぬかわからないですし、
死ななくても会えなくなることもありますし、
ですから時を大切に生きなくてはならないということ、
とても身に沁みます。
大変よい日記をありがとうございました。
by lequiche (2024-03-01 00:13)
lequicheさんnice!&コメありがとうございます。
あとで振り返ってみて極力後悔しないように過ごすとことがポイントかなぁ、と、この年を迎え感じ始めています。そのためには健康寿命を延ばすことですかね。
by NO14Ruggerman (2024-03-05 08:16)
こんにちわ。
久々にsong4u さんのブログにお邪魔してみた。
ちょっとだけ元気そうだったので安心しました♪
ご報告です(#^^#)
by Rchoose19 (2024-03-07 12:53)
ラガーさん。
残念ですね。残念すぎますよね。
K先生、駄目じゃないですか。約束破っちゃ！
苗字と名前から一文字ずつ取った"kaisin"さんからの最後のメール、
日付を見たら2年近く前 2022/04/07 木曜日 21:06 でした。
iPhoneからでした。呑み屋から打ったのかなあ？(笑)
タイトルは"プロミス！"です。
温泉巡り or 喫茶店巡りをする約束でした。
たった一度しかお目に掛かっていないのに、何十回も会っている
ような、不思議な感覚を誘う先生でした。
今でも、「あやしいマスターのいるあやしいお店」からの帰路、
自転車を押す先生と喋りながら歩いたあの日が思い出されます。
ご病気のことは伺っていましたが、なぜかきっと完治されて
「来月、九州へ行くことになったよ。道案内よろしく！」
などというメールが絶対来ると勝手に思い込んでいたので、
その後も珍しい喫茶店の情報収集などをやっておりました。
先生と湯布院の「碧雲荘」（荻窪にあった太宰の下宿を移築）
に行きたかったなあ。
ただただ、ご冥福をお祈りするばかりです。
PS
ラガーさん、憶えておられるかなあ？
疎遠になって久しかったのに、妙な胸騒ぎがして覗きに行って
本年2月12日に亡くなったこと知りました。
いであさん。2つ年上の大好きなブロガーさんでした。
些細なことが気にいらず、不本意にも疎遠になってしまったことが
今頃になって本当に悔やまれます。
https://idea522.blog.ss-blog.jp/
by song4u (2024-03-08 21:55)
Rchooseさん、教えていただきましてありがとうございました！
さっそく私もソングさんブログをのぞきに行き、コメントを
残したところsong4さんからも超久しぶりにnice!&コメントを
いただきました。
by NO14Ruggerman (2024-03-09 12:48)
song4uさんnice!&コメありがとうございます。
お久しぶりでございます。
2022年4月7日と言えば私がソングさんと福岡でお会いした
2日前ですよ。で、私も記憶が蘇りました。あのときｋ先生も
九州に旅立っていたのです。確か指宿温泉を目指して･･
私も東京を経つ前にそれを知り福岡で3人での再会を画策
しましたが予定が合わなかったんです。
https://no14ruggerman.blog.ss-blog.jp/2022-04-17
いやぁブログってまさに個人の日記ですね。
しかし高円寺でお会いしたあの日、ソングさんとは初対面だったにも
拘らず僭越ですが幼馴染の先輩後輩と久方ぶりに再会した感覚で
軽く3時間以上経過した後私が勝手に2次会として｢あやしいお店｣を提案、そこでｋ先生を呼び出したらすぐに呼応してくれやってきた。
盛り上がりすぎて誰もお開きを言い出さず、結局会合を提案した
私が一番最初に引き上げたのは終電直前、飲み始めてから優に6時間
は経過していました。まったく脈絡のないソングさんとｋ先生
それを見捨てる私も私ですがおふたりでそのまま残るってちょっと
ありえない展開でしたね笑
あんなことはわが人生の中で後にも先にも二度とないでしょう・・
いであさん、そうでしたか！確か私が「国家の品格/藤原正彦・著」
を絶賛したら激しく賛同されてしばらく交流が続きましたが疎遠
となってしまいました。ご冥福をお祈りします。
by NO14Ruggerman (2024-03-09 13:14)
悲しいお別れでしたね。
でもこれも新たな旅立ちです。
笑顔で送ってあげましょう。
by 駅員3 (2024-03-15 10:21)
駅員3さんnice!&コメありがとうございます。
お久しぶりでございます！
人は必ず死ぬ、このことを忘れず瞬間瞬間を大切に過ごして行きたいと改めて感じました。
by NO14Ruggerman (2024-03-18 08:42)