<レトロ喫茶店マニアの聖地>【カド/向島】65年の歴史に幕 [地域]
レトロ昭和喫茶店マニアのあいだでは聖地とあがめられている(と勝手にワタシがイメージ
しているのだがw)喫茶店が東京下町のかつて花街としてにぎわった向島で今も粛々と営業
を続けお客を迎え入れている。
その名も[カド]。十字路の交差点すなわち角地にたたずんでいることに由来したものなの
だろう。
創業が昭和33年なので今年でまる65年を迎えたまさに昭和を背負って立ってきた老舗中
の老舗喫茶店である。
私が勤務する職場から歩いて15分ほどのところなのでたまに立ち寄ってはいたのだが、
[カド]のごく近所に住む知人からショッキングな情報を受けたのは今年の4月初旬のこと
である。
それは「閉店する」というお知らせだったのだ、閉店日はこれから決定との事だったが。
なんでも老朽化した建物の外壁の一部が崩落したためのようである。
これは一大事と、仕事が手につかなくなったので業務をやりくりしてすぐ駆けつけてみた
ら下の写真の通り「臨時休業」の張り紙が貼られて閉まっていたのであった、無念。
その後ほどなくして開店にこぎ着けたことを把握したのでずっと伺うことを狙いつつ
気になる日々を過ごして来たのだがようやく先日願いを叶えて訪れることができた。
すなわちそのときに撮ったのが最初にアップした写真である。
ご覧の通り建物の外壁をシートで覆いながらの応急措置による営業だ。
なお閉店日が7月30日に決定したことが発表された。
ただし嬉しいことに完全閉店ではなく「移転」先も同時に発表がなされたのだ。
移転先は店主がじっくりと3か月に及んで候補地を冷静かつ大胆な分析と本人の嗜好
(海に近い場所)に合わせた先を探した結果、茨城県の日立市であることがつまびらか
にされたのである。
店内には[カド]の創業者である先代のコレクションとして貯蔵している数々の絵画作品が
掲げられている。
しかも数が多いので定期的に交換されているそうだ。
それらは天井にも飾られているのだ、それに豪華なシャンデリアも。
店内にはレトロなグッズが満載、しかも装飾品にあらず現役で活用されているもの
ばかりなのである。
先代の手作りメニュー表が戦中あたりに活躍したような雰囲気の大型ラジオと相まって
何とも味わい深い。
オーダーは[カド]の鉄板メニューであるくるみパンのサンドウィッチに活性生ジュース。
サンドウィッチの中身は店主から勧められたトマトとチーズを選んだが、自家製くるみ
パンはここでしか味わえない独特の風味であるのがいい。
そして活性生ジュース、まず名前が振るっているではないか。
先代が命名したものを作り方を含めそのまま受け継いでいるそうだ。
材料はセロリ・パセリ・アスパラなどの生野菜にリンゴやレモンなど果物をミックスし
たのだがセロリの苦甘さが私にとってドハマリの一品である。
花街として活況を呈していた当時お座敷前の芸者さんがこの活性生ジュースを一気飲み
して精力を養った逸話があるそうだ。いや現在でも数は激減したものの芸者さんは健在
なので同じ行動を取っていることだろう。
さてカウントダウンは30を切ったところである、できればあと2~3回は通いたい。
それから機会を作って茨城県日立市にも足を延ばしてみたいものだ。
(7月5日 追記 2016年11月27日拙記事 をリンクします)