SSブログ

<巻上公一>【濃厚な虹を跨ぐ】発刊記念講演を聞いて [本]

巻上公一氏は結成45年を数える音楽バンド〔ヒカシュー〕のリーダーである。

氏はもちろんあまたに存在するミュージシャンのひとりだが、演劇やらホーミー(喉歌)

やらその多才ぶりには舌を巻くものがある。

そんな氏が先日2冊目の詩集を発刊した。


656FD93A-CB78-4EED-A068-DB571666A1E9.jpeg


ヒカシューが発表する曲のほとんどは巻上氏の作詞作曲によるものだが、この詩集は18枚

に及ぶアルバム作品に収められている歌詞などから選んで出版した力作である。

ちなみに4年前に刊行した1作目【至高の妄想】は詩人の大岡信賞を受賞しているまさに

至高の作品だ。


40年以上に渡って氏の音楽を追いかけてきたのみならず一挙手一投足を着目してきた私と

してはもちろん本作品をいの一番で購入したのだが同時に発刊を記念して講演を行うという

情報を入手したのでこれは聞き逃すことは出来ぬと思い本日その講演を聞きに行ってきた次

第である。


会場は現在再開発が顕著な渋谷の南エリアにこじんまりとたたずむ小さなバー。

初めて訪れたそのバーは楽器が置かれていてたまにライブを行うようだが、何とも妖艶さが

漂うまさに巻上氏が講演するにはぴったりの箱のように感じた。



 9EBE47E0-EA27-4314-B05F-3FF247329D71.jpeg


(講演直前のショット、巻上氏とゲストであり「無印良品」ブランドを立ち上げたことで

 著名な小池一子氏および歌人の石井辰彦氏が座る予定の椅子)

アップライトピアノや蛇味線がいつでも活躍できるように、とスタンバイしている。



CA3353C7-F018-487D-8ACB-2E971EB9E69E.jpeg


(トークライブまっただなかの巻上氏(最右側)と隣で聞き入るクリエイテイブ・ディレ

 クターにしてレジェンドの小池一子氏とその隣は歌人の石井辰彦氏)

石井氏は歌人の立場から巻上氏の作品を几帳面で整然としていることに感心したと評した

のに対して小池氏は敬愛を込めて真っ向から否定していたのが微笑ましかった。



 D5F44DFF-0E7B-4131-A2B4-E96E2A9C93E8.jpeg


巻上氏みずから作品を情感込めて読み上げてくれた。


 F4564CA3-AEC2-4584-8CCF-EFEEA7C62F80.jpeg


巻上氏の得意技のひとつ、口琴を披露。


9BE68A35-F5C7-4646-843E-B5A3DE443920.jpeg



尺八をも演奏、しかし吹き終わったあとにこの楽器がプラスチック製であるとの一言

には思わず絶句してしまった。


          ◇          ◇          ◇


このようにトークライブから途中の休憩をはさんで詩の朗読、楽器の演奏、さらには

十八番(おはこ)である「ホーミー(喉歌)」まで披露というもりだくさんの2時間

強であった。

トークライブで触れられていた本詩集のエピソードをひとつ。

当初この詩集のタイトルは本作品中トップバッターを飾っている「キリンという名の

カフェ」となる予定だったものが巻上氏本人の意見でそれではおしゃれ感が漂うので

氏のポリシーに合わず回避となったそうである。

そして驚いたのがこの曲のコード進行。

単純に同じコード進行を繰り返すだけの平凡な構成なのだがそのコードがc-a-f-eなん

だそうだ。

巻上氏の(歌)詞には(ダ)ジャレがしばしば引用されていたり心地よい韻を踏んで

いる部分がよく見受けられるが、歌詞や曲のタイトルとコード進行が繋がっていると

知り改めて氏の機知に富んだ才能に敬意を表してしまった・・・


03ACA43F-941D-4B5E-A7E2-E2463DA8321D.jpeg


講演は19時スタートとちょうどディナータイムだったため手作り弁当が用意されていた。

写真は詩集の宣伝チラシをかぶせた紙製の弁当箱であり冊子にあらず。


42B4BE25-F642-44C1-A9E0-268D2B74AFED.jpeg


中身はこのように年配者好みのライトでヘルシーなメニューであり、もちろん言うまで

もなく美味であったことを伝えて今回の素敵な記念講演レポートの結びとさせて戴く。


(2023年5月24日追記)

講演の中でさらに大変興味深い話題を取り上げていたのでそれについても追記しておく。


〔濃厚な虹を跨ぐ〕冊子の表紙には呪文のような文字が列記されている。


          らいろらいろらいろらいろら


これがタイトルとして選ばれた作品の詩であり同曲の歌詞でもある。

巻上氏の曲にはこのようにナゾの歌詞を伴った作品が散見されるのだ。

そしてこのような正体不明の言葉のことを「ジブリッシュ」と称するそうだ。

氏は英語の「イングリッシュ」に対してちんぷんかんぷん言葉としての「ジブリッシュ」

という言語の対比を例示して初めて聞く人が理解し易いように解説してくれた。

私も初めてこの単語を知ったわけだったが、これは世界共通のひとつの「文化」として

ワールドワイドに存在しているそうで、かつきのうきょう生まれたものではなく歴史深く

日本よりもむしろ欧米の方が盛んであるそうだ。

巻上氏においても海外講演でジブリッシュを披露すると一目を置かれるらしく、コロナ禍

で世界各国のジブリッシュの名士たちとリモートジブリッシュ会談を行ったそうだ。

本日の講演でも数分間に及ぶジブリッシュを披露してくれ拍手喝采となったことを追加

報告としたい。

nice!(39)  コメント(24)