【ラグビーワールドカップ】紙一重の状況下で開催された勇敢なる戦士たちの一戦 [スポーツ(ラグビー)]
10月12日(土)この日は日本列島を空前絶後の台風が襲い、東日本エリアに
甚大な被害をもたらしました。
折しもラグビーワールドカップ(以下RWCと表記)プール戦の日程が佳境を迎えて
いたため、同日に予定されていた2試合(ニュージーランドVSイタリア 豊田スタジ
アム、イングランドVSフランス 横浜スタジアム)の中止が余儀なくされてしまった
のです。
そしてその時点(12日)で最も心配されていたのが世紀の大一番となってしまった
13日(日)19:45横浜スタジアムでキックオフとなる日本VSスコットランド戦の
行方です。
なぜ世紀の大一番となったかは、言わずもがな日本が第2戦で大番狂わせを起こ
して優勝候補のアイルランドに勝利したためこの一戦の勝者が決勝トーナメント
へ進出することになったからです。
もしも中止の判断が下されれば大会ルールにより引き分け扱いとなりスコットラ
ンドは予選敗退が決定。
過去決勝トーナメントを逃したのは1度だけという伝統国としてはノーゲームで
ノックアウトトーナメントへの進出が阻まれるなぞ絶対にあってはならぬ、とい
うプライドの塊りとなった主張を行ったものです。
スコットランドラグビー協会はRWC運営委員会が中止を下した場合は提訴する
とまで訴えて騒ぎ立てたのです。(他国は冷ややかだったようですが・・)
また台風を身を持って経験したことのない欧州に住む人々は日本人が是が非でも
決勝トーナメントに進出したいからこそ安易に中止の決定を下す、と考えている
との発想を持ったようです。
そんな状況下、10月13日午前10時45分に予定通り開催することが発表され
ました。
そして結果はみなさんご存じのとおり
日本28VSスコットランド21
で勝利を収め悲願の決勝トーナメント進出を実力で手に入れたのです。
自称筋金入りラグビーウォッチャーとしてはこの結果に仲間たちと大泣きしたのは
もちろんですが、何よりもラグビー人気が再燃しにわかでもいいのでとにかくラグ
ビーファンが急増したことにもとてもとても感激して喜んでおります。
テレビの視聴率もうなぎ登りで前試合のサモア戦の瞬間視聴率が46.3%で今年放映
されたスポーツ番組で最高だったとか・・
なので今回のスコットランド戦はおそらく50%超えは間違いないと踏みます♡
なんせ昼間放映のワイドショーでラグビーではけっこうマニアックな「ジャッカル」
という技術について解説しているくらいですからね。
ということで試合内容についてはテレビやマスコミで取り上げまくっているのでここ
では細かく触れず、試合開催に至ったエピソードにフォーカスしたいと思います。
まず試合前セレモニーでの風変わりな出来事と試合開催までの裏事情について英国の
<The Gardian>という大手新聞記者の記事について紹介します。
この試合においては過去に例を見ない「黙とう」から始まった。
それは台風が(開催決定の)つい数時間前に過ぎ去ったばかりで被害者の数がいまだ
確定していない(明け方に4名とされていたのが開催決定時9名へ、試合開始時は
24名、ハーフタイムに26名、試合終了後に28名と克明に記載)状況でなぜスポ
ーツをするのか、また見るのか、と。
最終的に決断を下した日本人の組織委員会はホスト国としてのプライドもあっただろ
うが「世界に向けて、自分たちはできると言うことを証明したい」という理由である
と主張した。
横浜スタジアムの被害が甚大にならなかったのは近くを流れる鶴見川に対する災害対
策設備が優れていたことや組織委員たちが前泊し徹夜で開催にこぎつけるため必死と
なって更衣室の水を吸い出したり政府や地方自治体と協力し水道局などと連絡を取る
などして最大限の努力を行った。
これは英国の新聞記事を日本人の方が独自に和訳してツイッターで流したものを抜粋
したものです。
後半の内容は割愛しましたが前述のスコットランドラグビー協会の主張をたしなめて
いるものや日本人(観客)の「おもてなし精神」に驚愕したことが触れられております。
私は今回の特別な環境下で開催された試合についてこの様な切り口で取材された記事
を残念ながら日本の新聞ではお目にかかれておりません。
ラグビーのルールブック(=競技規則)は細かいルールの説明の前に「ラグビー憲章」
という項目が設けられていて、そこに<品位・情熱・結束・規律・尊重>が謳われて
います。
スポーツのゲームとしての決めごとの前に人としてのマナーというか心構えを問うて
いるのです。
上記英国記者の記事には日本人に対する<尊重=RISPECT>の匂いがプンプンと感じ
られとても心地よい思いに浸されました。
きっと自身もラグビープレーヤーだったのだろうな・・・と勝手に想像してしまう。
今回の日本チームは海外の記者から驚くほど好意的に取り上げられていまして、ペナル
ティにつながる反則の少なさ、ましては危険な行為の退場者(イエローまたはレッドカ
ード)が皆無である<規律=DISCIPLINE>やワンチームを標榜してきた<結束=SOLID
ARITY>に優れていることが絶賛されています。
なのに国内大手のA新聞は確か2戦目の勝利のときか「多国籍軍奮闘」なる見出しを
載せて怒る気すら失せて情けなくなりました・・
さて今週末からは日本にとって未知の世界、決勝トーナメントが始まります。
RWC開催前に彼らは口をそろえて目標はベスト8と言ってきましたが、志の高いわが
ブレイブブロッサムは当然ここで終わるはずがありません。
アイルランドを破ったときNHKの豊原アナウンサー(南ア戦でも実況中継を行った人物)
は「もう奇跡とは呼ばせません」との名文句を発しましたが、今週末南アを破ったと
しても世界は奇跡とは見ないほど認められるようになってきました。
楽しみな日々は続きます。
*日本メディアでのThe Gardian同様横浜スタジアム防災設備に触れた記事をリンク 10月16日9:00