【ラグビーワールドカップ】世界2位アイルランドに勝利の大金星~でももう奇跡とは呼ばせない [スポーツ(ラグビー)]
9月28日(土)静岡・エコパスタジアム 16:15KO
日本 19 VS アイルランド 12
衝撃の結果でした。
相手は世界ランキング2位(つい先週までは同1位)のアイルランドです。
4年前に南アフリカを破ったとき相手のランキングは世界3位でしたのでそれを
上回るジャイアントキリングを達成したことになります。
今回のニュースも日本はもとより前回に続きまたも世界を震撼させました。
敵国アイルランドでは「勇ましい日本による驚くべき番狂わせ」と報じ、ラグビー
が最も盛んな南半球の国々ニュージーランドやオーストラリアでは、前回の南ア戦
を引き合いに出し「奇跡には続きがあった」と表現。
あるいは前回南アを下した時はイングランドのブライトンで行われたため「ブライ
トンの奇跡」と世界で呼ばれていることにかけて「静岡ショック」という新たな
呼び方を産み出しています。
私自身、アイルランドVSスコットランドの試合を観て、まったくスキのないアイル
ランドの戦いぶりを見せつけられたので今回の試合ではダブルスコア程度の敗戦に
なるだろう、と推測しておりました。
それでも4トライ(ボーナスポイント)未満に抑えることができたら上出来だろう、と
思っていたほどなので、今回仲間たちとワイドスクリーン画面で見入っておりました
が最後はもう涙が止まりませんでした。
日本代表チームにごめんなさいです。あなたたちの実力を信じることができず最後
までこんな結果になるとは思ってもみませんでした。
試合前にジェイミージョセフヘッドコーチが選手たちに5行の俳句を英語で詠み上げ
たそうです。「誰も勝つと思ってない、誰も接戦になると思ってない、誰も僕らが犠牲
にしてきたものは分からない、信じているのは僕たちだけ」
英語の俳句って5-7-5なのかどうなのかはさておき、素晴らしいマネジメントに感
心しました。
前ヘッドコーチのエディさんは「ジャパン・ウェイ」(日本(独自)の勝ち方)を標榜して
いましたが、その有名となったセンテンスの前に「サムライ・アイズ」「ニンジャ・ボ
ディ」が実は存在するのです。鉄腕アトムをこよなく愛した彼は当時のジャパンチーム
に鉄腕アトムをだぶらせて「日本(ラグビー)を救う」とチームを鼓舞してゆきました。
うまく日本の文化を多国籍からなる日本代表チームに落とし込んだと思います。
ジェイミーも同様にして日本の文化をうまく取り入れやはり日本をワンチームにまとめ
あげ日本代表の矜持を持って試合へ臨むよう託したのでしょう。
メンバー発表のとき選手へ日本刀を渡した、という話も耳にしました。
さて試合展開についてはすでにご存じのことでしょうから細かくは触れませんが、何よ
りも分岐点となったのは前半30分過ぎの負傷退場となったナキ選手との交替でリーチ
・マイケル選手が登場したことでしょう。
あとで振り返れば如実に確認できますがそれまでのボールポゼッション(支配率)で圧倒
的にアイルランドが上回っていたのがこの時をさかいに完全に逆転しました。
というのもリーチ選手の攻守にわたる献身的なプレーが、ポゼッションをも変えてしま
ったのではないかと思えるほどいつもにも増して鬼気迫るものを感じさせ、何か神がか
っていました。
なぜ、リーチが先発しないのかは、試合の途中でインパクトプレーヤー投入という一種
の戦略かと考えていたら、ジェイミーHCが初戦(ロシア戦)でパフォーマンスの低かった
リーチをあえて先発から外した、と新聞記事で知り驚きました。
出来が悪くともラグビーのゲームにおける主将というのは精神的支柱なのでその大黒柱
が先発しないリスクの方が大きいのではないかと素人的には考えてしまうからです。
でも上述の通りこの交替が大正解で、結果ここから先アイルランドは無得点であったの
に対し日本はこの時点でまだぺナルティゴール1本の3点でしたがここから反撃ののろ
しがあがり大逆転劇へと通じたのです。
そして何といっても圧巻は後半途中出場数分後に見せた福岡選手の逆転トライ。
彼は今月初旬の南ア戦で負傷退場以降ワールドカップ初戦のロシア戦にも欠場、本アイ
ルランド戦も当初欠場の予定でしたが先発予定だったトゥポウ選手がケガで当日朝急きょ
欠場となったためリザーブにエントリーされ、さらに試合後半にケガのため退場した山中
選手との交替メンバーとして晴れて登場したのでした。
ラファエレ選手のクイックパスから完全ノーマークとなり典型的な日本のコネクト(つな
ぎ)プレーのフィニッシャーとして花を飾ってくれました。
さて次戦は10月5日(土)のサモア戦。世界ランク15位と統計的には日本より格下
ですがフィジカルや個々の運動能力に秀でており決して侮れない相手です。
しかし今の日本代表ならスキが見当たらないので多分順当な結果であることを予想しま
すが厳粛な気持ちで見守ってゆきたいです。
そして2週間後にはスコットランドとの最終戦。
願わくば予選プールを全勝通過しその勢いを持ってすれば五郎丸氏が常に訴える「優勝」
もまんざらではなくなってくるのではないかと思います。
いずれにせよこれからますます目が離せないワールドカップ、楽しみは続きます。