美輪明宏~ヨイトマケの唄~封印から復活した魂のSONG [音楽]
先日NHKBSで『美輪明宏<ヨイトマケの唄>その愛と秘密』が放映され視聴しました。
非常に中身の濃い内容であり自分自身記録にとどめておきたいと痛感しましたので、
番組の焼き直しバージョンではありますがお付き合いいただけましたら幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2012年NHK紅白歌合戦 美輪明宏77歳 最高齢で初出場
<ヨイトマケの唄>(作成年 1965年) ←クリックすると曲がリンクしています
(ここは私見です)多くの若者(のみならずおおよそ70歳に達していない人たち・・私も
です)が美輪といえばかなり年配でありながらLGBTを標榜しつつも辛口なコメントを
売りにするクセ者タレントくらいの見識しか有しておらず、よもや偉大なシャンソン
歌手だとはまったくご存知なかったのではないでしょうか・・
どんな歌を歌うんだろうとゲテモノ的好奇心で聴いていた観衆の度肝を抜いたのが美輪の
この<ヨイトマケの唄>でした。
いつもは罵詈雑言オンパレードの2チャンネルがこのときばかりは賞賛の嵐だった
そうです。
ところで私のこの曲との出会いは、小学校低学年のころ。
「父ちゃんのためならエ~ンヤコラ、母ちゃんのためならエ~ンヤコーラ、もひとつ
おまけにエ~ンヤコ~ラ~」のセリフが世の中で流行って、こども心にとてもコミカル
で親しみやすいフレーズだったので節回しを勝手につけて友達との間でフザけてよく
使った記憶があります。
てっきりコミックソングだと思っていたこの歌ですが、その後テレビでぱったりと聴く
機会を失った理由が放送自粛ソングに指定されていたとはつゆ知らず、ふたたびこの曲
がほかのアーチストたちにのカバーによって聴かれるようになったころ、気が付けば
時はすでに21世紀を迎えておりました。
さて話は逸れますがもうひとつの著名な『放送自粛』曲です。
<竹田の子守歌唄>(赤い鳥)・・京都の被差別部落で歌われてきた曲として永年放送
自粛曲扱いを受ける
私が自分自身の小遣いをはたいて買った通算2枚目のEP盤なので思い入れの強い曲
ですが、それがよもや放送自粛を受けていたと知ったのはやはりかなり時が経過して
からでした。
この曲には幻と言われれる<2番>の歌詞が存在しそれは
"久世(くせ)の大根飯 きっちょの菜飯(なめし) またも竹田のもん葉飯"
という歌詞です。 封印される少し前に私はたまたまラジオでこの歌詞が流れたことが
EP盤の曲で歌われていない歌詞だったことから強烈に頭の中に残っておりました。
『放送自粛曲の中のさらに放送自粛歌詞』ということで究極のお蔵入り部分といえます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
話を<ヨイトマケの唄>に戻します。
美輪は作詞のきっかけを自身の幼少時の友人を思い起こしたものとしており、ドキュ
メント番組インタビューでもその汚らしくてか弱くいじめられっ子の主人公の母親が
息子を思う愛について次のように語っています。
「ケンカが強い、金持ち、勉強できる、のが偉いんじゃあない。人間で一番偉いのは
お天道様の前に胸張って神様にじっと目を見ていられるだけちゃんとまじめで、
そして何でも一生懸命やってそして清らかでまじめな子が一番偉い、だからあんたは
偉いんだ」
ところで「エンヤコーラー」ってどういう意味なのでしょうか。
これは美輪がかつて著した「紫の履歴書」でこう語っています。
「僕はあの誰それのためならエンヤコーラーという言葉が大好きだ
それは実に豊かな愛を簡単に表現している見事な言葉だ
この言葉の中にはヒロイズムもなければ見返りを要求する押しつけがましさもない
ただほのぼのと暖かい無償の愛があるだけだ」
その言葉には共感します。有償の愛とか見返りの愛ってあるのでしょうか・・
私の理解ではそれは愛もどき、あるいは見せかけの愛だと断じます。
最後に・・
美輪明宏という人物は紅顔の美少年として華やかなデビューを果たしたものの、
昭和20年代まだまだ世の中の見解が古式ゆかしき時代に同性愛をカミングアウト
して干されしまい、しかしそれを克服してようやくこの<ヨイトマケの唄>が大ブレ
ークしたかと思ったら今度は<放送自粛曲>としてまたも干され・・と大きな逆境を
2度も克服しているから並のアーチストとは比較にならぬ異次元の力強さを有して
いるように感じられてしまうのです。
今後もこのようにパワフルな生命力を有した曲と出会いを心待ちにしています。