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平成の毒婦 [ニュース]

名古屋から前橋に転居して以降、帰省時に利用する交通機関はもっぱら

電車になりました。

先日帰省先から前橋に戻る際乗車駅で乗り込む電車まで時間があったので

エキナカの書店に寄って衝動的に買ってしまった新刊本。

 毒婦.JPG

世間の注目を浴び先月判決が下された「例」の事件をレポートし編集した内容。

この事件については新聞のニュース記事程度の情報しか把握していなかったのですが

好奇心が他人よりも少しだけ旺盛な自分にとって、非常に不思議な事件に映って

いたので、週刊誌をまとめ読みする感覚で手にしました。

 

 今回の地裁での判決は3人の殺害を認定し被告(木嶋佳苗、以下佳苗と表記します)

は「死刑」となりましたが、佳苗に係わった男性は4名が亡くなっていたのですね。

起訴された事件以外の一人は2007年の死亡で、亡くなる数日前に佳苗が練炭を購入した

事実まで検察が抑えているものの時が経過していたがため死因との因果関係を調査する

のが困難だったようで起訴を見合わせた模様。

それにしても男目線たる私として実に不可解に思ったこの事件は、ずばり佳苗があの

衝撃的な容姿でありながら次々と男性が結婚がらみで犠牲者となっていったところです。

 

しかし本書を読んで更に驚いたのは、亡くなられた4人以外に何と9人もの交際相手が

登場し、しかも佳苗はすべての男性を惚れさせている。

ある時期など数名との交際を同時進行させる器用さにも触れられていました。

かといえ中には美形男子も含まれており、たとえば佳苗が金銭の要求を行わなかった

いわゆる「恋人」関係の相手は長身のイケメン。

なぜそれほどまでにモテるのか・・・

まず婚活サイトでの佳苗のメッセージは、サイトに登録してくるような男性たちにとっては

実に惹きつけられる文章の巧みさというか才能を持っていること。

その魅力的なメッセージにノックアウトされた男たちはすかさず会う約束を取り付ける。

そして実際に会うと、今度は佳苗得意の手料理で母親のような包容力と当事者(被害者)

たちより相当年下であるがための甘えを交互に使い分けて男たちを術中にはめて

いってしまう手口が綴られている。

 

かつて和歌山毒カレー事件で一世を風靡した「林真須美」死刑囚の行った行為が

「保険金ビジネス」と揶揄されましたが、佳苗の行為はそれになぞらえれば

「婚活ビジネス」とでも言いましょうか。

まじめな思いで婚活サイトへ登録し幸せな出会いを期待している人たちや、社会問題化

している日本人の婚姻率の低下や初婚年齢の高齢化という深刻な事態への脱却の

一助として婚活サイトを運営している事業者たちにとって、佳苗という人物が行った

行為は大変な信用の失墜であり許し難いものです。

本書では触れられていなかったのですが、佳苗が婚活サイトに掲載した、いわゆる相手

への条件を後日調べてみると、職業に関しては医師や金融業界の管理職など高収入に

限定、年齢も自分よりずっと年上をターゲットとするなどしたたかさが見えてきます。

私は男性として、というよりも人間としてその不道徳いや詐欺的行為に義憤を禁じ

得ませんでしたが、筆者の女性は否定も肯定もしていない、いえどちらかと言えば

騙される男性に非がある、というようなニュアンスの論調でした。

従って当然反感を抱きながら読み進めていったので非常に後味の悪い読後感想

となってしまいました。

ただそんな筆者も佳苗のことを擁護するようなレポを続けたにも拘わらず、佳苗本人

からは嫌われているという内容を綴った本人のブログを拝見しました。

 

そして本書やそのブログに釣られて、佳苗が判決を受けた後に朝日新聞社へ

送った「手記」を探して目を通してみました。

その文章力は誰もが評価する通り非常にハイレベルです。

私なぞ使ったことが無い「無聊(ぶりょう)」なる単語も登場するなど語彙力も豊富です。

しかし「人として」の観点からすると0点。

なぜなら亡くなられた方々やその関係者の人たちへの記載が一切無いからです。

もし自分が佳苗の立場で無実を訴える手記を発表するなら(普通の発想だったら)

亡くなる直前まで行動を共にしてきた人物が亡くなっている事実に対して当然

お悔やみのひと言でも触れるだろうに、と思ってしまいます。

(と主張してから、これが凡人の発想であり、その反対意見というものが多々あるの

だろうなぁ、と推測。現に佳苗を擁護いやいや佳苗に惹かれる女性たち=佳苗ガー

ルズの存在もある、と本書で触れていました)

 

最後になりますが、この「毒婦」が卓越した才能を持ち得ていたということは

間違いないと思います。

その才能を世の中のためになる部分で発揮していたらたとえば偉大な料理

研究家とか実業家になっていたのではないだろうか、と感じました。

人生の先輩たちが、どうして降り込め詐欺に引っ掛かってしまうんだろう、と

不思議がる前に(自分が婚活サイトに登録することはないと思いますが)

自分もその類の世の中にうごめいているあまたの誘惑にダマされぬよう

常に知識・情報を磨いてゆきたいと考える所存です。

(う~ん、何か決意表明のようになってしまった)

 

 

 

 

 

 


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song4u

名古屋から前橋。
ご実家は確か、埼玉でしたっけ?
群馬と埼玉なら隣県ですからね、通勤は無理でもね。^^

『毒婦』。
北原みのりさんは、何度かテレビで拝見しました。
髪の長い、今風の女性のようでした。
その時は、被告の法廷内での服装についてコメントされてたかな?

この事件の特異性は、結婚詐欺師らしからぬ被告の容姿ですよね。
いや、結婚詐欺師というのは従来の分類であって、被告の場合には
そこへ分類するのは問題があるのかな?
でも、ぼくは単なる結婚詐欺師ではないかと思いますけどね。
それ以上でも、それ以下でもない、ただの結婚詐欺師ですね。

人の心の中へ入り込むのが上手だったんでしょうね。
もちろん、相手によっては多くの失敗もしているはずです。
上手く騙されてしまって、その後も残った人だけが毒牙にかかった?
誰もが被告に好意を持つとは、とても思えませんからね。
by song4u (2012-05-13 18:47) 

sonic

こういう容姿の女って意外にモテるんですよね。
不思議です。
by sonic (2012-05-13 23:06) 

tamanossimo

あの「あごの写真」(あれは結構キレイじゃない!?)の女性だと思って会ってみると全然違う、でぶでブスな女が来る・・・
その時男性は安心するんですって。
『この程度の女性なら』って・・・・・。
あたしもこの本読んでみようっと!!
by tamanossimo (2012-05-14 00:37) 

NO14Ruggerman

songさんnice!&コメありがとうございます。
筆者の北原みのりさん、確かに本書では佳苗の
服装を細かく描写していました。
いつも胸の谷間を強調する格好で出廷していた
そうです。
(あまり見たいとは思わないな~笑)

by NO14Ruggerman (2012-05-14 23:25) 

NO14Ruggerman

sonicさんnice!&コメありがとうございます。
確かに「デブ」には引きますが「ぽっちゃり」には
惹かれます。
by NO14Ruggerman (2012-05-14 23:28) 

NO14Ruggerman

tamaさまnice!&コメありがとございます。
確かtamaさまのブログにも一度登場したような記憶が・・
「あごの写真」??私は知りません。
tamaサマ読後感想アップしてくださいね。
by NO14Ruggerman (2012-05-14 23:32) 

駅員3

私には被害者の方々がなぜ騙されたのか…???でしたが、なるほどそうだったんですね!!
by 駅員3 (2012-05-16 19:07) 

NO14Ruggerman

駅員3さんnice!&コメありがとうございます。
私も全く以て不思議に思っていたので
スッキリしたくて衝動買いした新刊本でした。

しかし被害者たちは皆倹約家のようでしたので
そんな堅実な彼らからいとも簡単に大金を
引き出していった佳苗は恐るべし人物だと
感じました。
by NO14Ruggerman (2012-05-16 23:52) 

rtfk

その才能を別のことに生かして欲しかったと
月並みな感想を持ってしまうのです。。。(^^)

by rtfk (2012-05-17 06:20) 

NO14Ruggerman

rtfkさんnice!&コメありがとうございます。
月並みな感想と言わず、全うな考えの持ち主なら
誰もがその様に感じるところだと思いますよ。
by NO14Ruggerman (2012-05-17 19:34) 

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